「移民」中村亮一
会期:2019年9月7日(土)~9月28日(土)
時間:12:00~19:00
休み:日.月曜日(8日(日)は開廊)
トークイベント・レセプション 9月7日(土)
19:00-20:00 トークイベント|中村亮一×有江俊哉(嘉麻市立織田廣喜美術館)
20:00-21:00 レセプション
この度、EUREKAでは中村亮一の個展「移民」を開催いたします。
福岡では初めての展示になります。本展では、新作映像作品を含む約600点を展示いたします。
中村亮一は、ポーラ美術振興財団在外研修員として1年間(2015-16)アメリカに滞在し、多民族社会における共存のあり方を理解するため、第二次世界大戦時の日本人移民と日系アメリカ人について調査しました。私たちの取り巻く世界、国家、歴史の中で個人とは何か、またお互いを理解し共存するとはどういうことかについて意識し、残された彼らの写真をもとに肖像として描かれています。
中村亮一 Ryoichi Nakamura
1982年生まれ。2003年に単身ベルリンへ渡り(東京造形大学を自主退学)、2004-2008年までベルリンで作家活動を行います。帰国後は東京を拠点に活動を続けており、2015年8月-2016年8月はポーラ美術振興財団在外研修員としてアメリカに滞在しました。近年の主な国内での展示では、第17回岡本太郎現代芸術賞展、ギャラリー椿、LIXILギャラリー、KOKI ARTSでの個展などがあります。
[作家ステートメント]
日本を出てベルリンに移り住んで初めて外国人になった。漠然とした日本人であるという自らの国籍や人種について実感して再認識できたのは、至る所で投げかけられる「あなたは違う」という視線だったかもしれない。発展途上だからと蔑視していた他のアジア人と一括りにされたり嘲られて、否定したり怒ったりする自分自信が彼らを差別していること、そしてまるで日本人が名誉白人の権利を有しているような勘違いに気づく事ができた。外国人として暮らしたベルリンで、多くの民族が共生し合い、互いの違いをぶつけ合い、時に衝突しながらも理解し容認し合う社会に少しでも参加できたことは、極端に違う環境で育った自分にとって大いに有意義な体験であり、今に繋がる大切なきっかけだったと言える。
少子高齢化による労働者不足を補うために、これまで以上に外国人労働者を受け入れるという。日本にとって他民族との共生社会とはどういうものなのだろう?日本は世界に開かれた国際社会だというが本当にそうなのだろうか?自分が育ち誇りを持って生きてきた社会に関心を持つのは当然な成り行きだったと思う。
今までも多くの移民と呼ばれる人々は住んでいる。存在を無視していたわけではない。だが「違う」ということで隔てられてきた彼らと向き合ったこともない。他人事と思って今まで端に避けて先送りしてきた、私たちにとっての当たり前が当たり前でない、異なる文化的背景で育ってきた人々と共存し合う社会を、いよいよ自分たちも迎えようとしている。多様性や共生とよく耳にするが、放置されてた自分たちの意識も大きくアップデートしなければいけない過渡期なのかもしれない。自分にとって大切な人々が、悪気ないつもりで差別的なことを言うのも、同調して嘲笑する姿も見たくない。この展覧会で一個人の願いではあるが、その想いを作品を通して伝えることができたなら嬉しい。
中村亮一
中村亮一HP www.ryo-art.org/index.html