
木原千裕「不思議」
会期:2025年12月6日(土)-12月20日(土)
時間:13:00-19:00(最終日は17:00まで)
休廊日:月・火曜日
このたびEUREKAでは、2025年12月6日(土)から12月20日まで、写真家・木原千裕さんの写真集刊行を記念して、写真集に掲載されている作品約30点を展示する個展「不思議」を開催いたします。
僧侶である恋人の属する寺に拒絶された葛藤から信仰による救いとは何かという問いを抱え、巡礼の旅を通してまた写真と向き合うことで自己と世界の関係性を捉えようとした木原。本展では、恋人であった僧侶を被写体とした作品や、寺の法要風景、仏教を含む多数の宗教で聖地とされるチベット西部に位置するカイラス山の巡礼路で撮影した写真、地元福岡を撮影した作品などを展示します。
「僧侶である恋人の属する寺から拒絶されるという出来事は時間をかけて私に深い傷と多くの問いを残していった。宗教とは一体何なのか。信仰とは一体何なのか。根源的な問いを引きずりながら私は世界の中心にあるとされる聖山カイラスを目指した。
すべての物事は関係性の中で成り立つ、すべてのものは関わり合いの中で存在するという仏教の縁起思想と写真行為の邂逅の果てに見えたのはあくまでも自己を中心とした自身のありようであった。
それでも犀の角のようにただ独り歩み、対象それ自体と向き合うこの回路は私と私以外にすべての繋がりがあるように開かれていた。」 (木原千裕)
[関連トークイベント]
◆ 12月7日(日) 15:00-16:30 参加費:1000円
「Toward I-Photography 」 木原千裕+結城円
九大大学院で教鞭をとる結城さんの研究領域である「私写真」を手がかりに木原作品を探求します。多様な写真表現が生まれる現代において、あらためて〈私〉という視点に立ち返り、私写真の向こうに広がる新たな表現の地平をともに考えます。
◆ 12月13日(土) 14:00-15:30 参加費:1500円
※日程変更になりました。
12月19日(金) 19:00-20:30 参加費1500円
「日々と写真」 木原千裕+喜多村みか+田川基成
現在福岡を拠点に制作し、それぞれのキャリアで作家としての道を歩んできた同世代の九州出身の写真家3人による鼎談。制作する上でふだん考えていること、悩み、生活、これからのこと。3人できままに語り合います。
[作家プロフィール]
木原千裕 | Chihiro Kihara
1985年福岡県生まれ
同志社大学社会学部教育文化学科卒業
2021 第1回ふげん社写真賞 グランプリ
2021 第23回写真「1_WALL」グランプリ
2018 塩竈フォトフェスティバル写真賞 特別賞
[登壇者プロフィール]
結城円|Madoka Yuki
九州大学大学院芸術工学研究院准教授。専門は写真史・写真論、イメージ学、比較文化論。2010年ドイツ・デュースブルク=エッセン大学にて博士号取得、2013〜2016年まで同大学講師。2011年から2013年までAlfried Krupp von Bohlen und Halbach財団「写真専門美術館キュレータープログラム」キュレイトリアル・フェローとしてドレスデン国立美術館、ミュンヘン市博物館、フォルクヴァング美術館、ゲティ研究所に勤務。
喜多村みか|Mika Kitamura
1982年福岡県生まれ。2008年東京工芸大学大学院芸術学研究科メディアアート専攻写真領域修了。写真を中心に、現在は執筆や朗読、音楽など、ひろく表現の探求を行う。2019年VOCA展にて大原美術館賞を受賞。2024年より福岡県糟屋郡在住。
田川基成|Motonari Tagawa
1985年生まれ。長崎県の離島出身。北海道大学農学部森林科学科卒業。編集者・記者を経て写真家になる。人の移動によってもたらされる景色や文化に興味を持ち、地域の歴史と個人の記憶を行き来しながら写真を撮っている。2021年より糸島市在住。
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木原千裕 写真集『不思議』
――「それでも、犀の角のようにただ独り歩み、対象それ自体と向き合うこの回路は私と私以外にすべての繋がりがあるように開かれていた」
このたびふげん社は、木原千裕『不思議』を刊行いたします。
木原千裕は、1985年福岡県出身の写真家で、2021年に第1回ふげん社写真賞グランプリを受賞し第一作目の写真集『いくつかある光の』を刊行しました。本書は、同じく2021年に第23回写真「1_WALL」でグランプリを受賞した作品を、4年の月日を経て編み直した、木原の2冊目の写真集です。
恋人の僧侶との関係を、彼女が所属する寺から性別、性的指向、宗教のしがらみを理由に拒絶された出来事は、木原に自身の生の根幹を揺らがすような深い傷と問いを残しました。信仰とは何か、宗教とは何か、という問いと葛藤を胸に、聖地チベット・カイラス山に巡礼の旅へ向かいます。
標高5000mという肉体的にも精神的にも極限に追い込まれた場所で、吹雪の中、五体投地をする信仰者とともに、歩みを止めずに独りひたすら前へと進む中で、その脳裏では過去の記憶が激しく流れ出していきました。
カイラス山の険しい山肌、地元福岡の街、恋人の残像、京都や広島で出会った宗教行事とチベットの巡礼者たち、夕暮れに佇むあの日の自分。時間と場所を行き来しながら接続し合うイメージの奔流は、自己と他者のつながりと、自らが向き合う世界を肯定するように開かれていきました。
アイデンティティが壊れるような困難に遭いながらも、光を求めて歩み続ける中で紡がれた、個人の生と強く結びついた写真とテキストは、この世界のどこかで誰かといつの日か繋がり、新しい物語が立ち上がるでしょう。この世の不思議に満ちた、豊かな連環を感じさせる一冊です。
[書誌情報 ]
木原千裕『不思議』
2025年11月4日発行
著者:木原千裕
デザイン:尾中 俊介 (Calamari Inc.)
発行所:ふげん社
サイズ:A4変形
仕様:上製本
頁数:116頁
写真点数:74点
定価:6,600円(税込)
(ふげん社のテキストより)

